今週の超お勧めの1冊を紹介します。
「競争優位」の事業システム 事業戦略の静かな革命 加護野忠男 著 1999年 PHP新書
事業システムといっても会社のコンピュータシステムについて書いた本ではありません。顧客に製品やサービスをうまく提供するための仕組み、顧客に価値を届けるための事業の仕組みについて書かれた本であります。わかりやすい例として翌日事務用品が届くアスクルなどがあげられます。アスクルは、数少ない社内ベンチャーの成功例の一つであります。文具メーカー「プラス」の社内ベンチャーとしてはじめられた事業でして、商品供給のスピードをあげることによって、困っている顧客の問題解決に貢献したのです。アスクルは、注文はFAXやインターネットで直接受けますが、商品に関しては、製造元の「プラス」が、直接配送しているわけではありません。これまでの取引のある全国各地の文具店を通して販売しています。地域の文具店の方が地域に根づいているために、代金の回収や細やかなサービスに優れているという特徴もあるからです。また、アスクルを利用すれば、備品を購入するコストも下がります。これまで文具にしても備品にしても会社の中の事務、経理部門を通して、購入するケースがほとんどでありました。極端に言うと100円のファイルを購入するのに、500円も1000円もコストがかかっていたのです。それは社内の備品を管理して必要なものをとりまとめ、注文したりするのに必要な人件費でした。それをアスクルを利用すれば、個人が必要な備品をそれぞれの端末で発注するという仕組みを作ったのです。これで備品を管理する人件費が節約できたということです。この本ではこのようなシステムは、企業独自の「事業システム」という言葉で表現され、競争優位な事業システムについての解説が数多く載せられています。しかし最近は100円ショップやドンキホーテなどの思わぬアンチテーゼの出現にも注目したいものです。
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